フィリーズレビュー・中山牝馬S・中日新聞杯|先週の重賞ニュースまとめ

 

先週の重賞ニュースまとめ

フィリーズレビュー



 クラシック戦線は牡牝とも東が優勢。牝馬は桜花賞へ向け、きさらぎ賞で牡馬の一線級を難なく蹴散らしたルージュバックという女傑がしっかり控え、最重要前哨戦のチューリップ賞はココロノアイが制した(残念ながら阪神JF馬ショウナンアデラは右第3中手骨骨折で戦線離脱)。

 それだけにクイーンズリングの勝ちっぷりは、西にとっては“待望”。ルージュバックを脅かす存在が出現した、と言っても大袈裟ではないだろう。

 「思ったより体が減っていた(20キロ減)のにはビックリしたが、カイバも食べていたし、装鞍所でも発汗はなく、落ち着いていた。初めての当日輸送だったからかな」。吉村調教師も戸惑う状況下ながら、直線で外から次元の違う末脚を披露。終わってみれば笑顔しかない快勝だった。

 3月にJRAジョッキーとなって早くも重賞2勝目をマークしたミルコも、その素質を日本語で絶賛。「競馬場ではテンションが高くなるけど、賢いし、乗りやすい。桜花賞へいい感じ。チャンスだと思う。桜花賞を勝つのが夢なので、本当に勝ちたいだけです」

 もちろんリングの強さだけでなく、ミルコの腕もあるだろう。ダイワマッジョーレの阪急杯にしても、この男が乗ると最後のひと伸びが明らかに違う。

 「ジョッキーも『7Fを使って本番へ行くことはプラス』と言っていたし、本番のことを思い描きながら乗ってくれたね」とトレーナー。フィリーズRで得た点を、桜花賞では線に変える。ミルコならやってしまうか。2頭で決まるのなら穴党の出る幕はなさそうだが、ルージュvsリング&ミルコの華のある戦いはもちろん楽しみだ。 (水谷圭助)


中山牝馬S





 GIII中山牝馬S(15日=中山芝内1800メートル)は3番人気のバウンスシャッセ(牝4・藤沢和)がクビ差で勝利。昨年のフラワーC以来となる重賞2勝目をマークするとともに力強く復活をアピール。“宿敵”ヌーヴォレコルトに果たし状を叩きつけた。

 オークス3着馬がようやく目を覚ました。中山芝内1800メートルは3歳時に勝ったフラワーCと同じ舞台。当時はインからロスなく抜け出したが、今回は外を回ってねじ伏せる差し切り勝ち。ペースが流れた(5ハロン通過59秒2)とはいえ、直線の力強い伸び脚はなかなか迫力があった。

「直線を向くまで手応えは抜群。位置取りが後ろになったのは作戦じゃないけど、流れは速いと感じたし、力があれば差せると思っていました。(競馬では)初めてでしたが、牝馬らしくなくてどっしりと構えている。ヴィクトリアマイル(5月17日=東京芝1600メートル)を視野に入れられる馬ですよ」

 初コンビを組んだ田辺はベタ褒め。GIを狙える器と太鼓判を押した。

 管理する藤沢和調教師も「今日は強かった。中山コースでは本来ああいう競馬は厳しい。2着かなと思ったら、ゴール前でビュッと来たからね」とこの馬の能力を再認識したようだ。

 今春の目標はもちろんGIヴィクトリアマイル。その前にGIII福島牝馬Sを挟むプランもあるが、いずれにしても3歳時にかなわなかったGIタイトルを目指す。

「もともとかかり癖のある馬だし、ついて行けるスピードはありそう。東京のマイルにも対応できるんじゃないかな」(同師)。2歳時のアルテミスS10着以来のマイル戦にも不安はない。

 中山記念を勝って新女王にまっしぐらのヌーヴォレコルトとはオークスでクビ+クビ差の接戦。見事復活を遂げ、1年前の借りを返すシーンは十分にある。


 


中日新聞杯







 第51回中日新聞杯(14日、中京11R、GIII、4歳上オープン国際、ハンデ、芝2000メートル、1着本賞金4000万円=出走18頭)四位洋文騎乗の5番人気ディサイファが中団から力強く抜け出し、昨年のエプソムC以来となる重賞2勝目をマークした。タイム2分1秒2(良)。1馬身1/4差の2着に2番人気デウスウルト。1番人気ダノンジェラートは7着に敗れた。

 GIIIなら力が違った。ディサイファが昨年6月のエプソムC以来となる重賞2勝目を飾った。

 「エプソムCのときと同じ(1)番で縁起のいい枠だと思っていた。内枠で開幕週だし、レースのイメージはできていた」と、思惑通りの快勝に四位騎手は頬を緩めた。

 ロスなく中団の内を追走し、残り200メートルあたりで外に持ち出し一気に加速。逃げ粘るマイネルミラノをかわすと、デウスウルトの追撃を抑えて先頭でゴールに入った。

 「状態を見て決めるけど、秋の競馬から逆算して考えたい。エプソムC(6月14日、東京、GIII、芝1800メートル)あたりを使ってもいいね」と小島太調教師は胸をふくらませる。

 昨秋は一線級に力の差を見せつけられたが、飛躍の一年とするか-。 (渡部陽之助)

 ◆平田師(デウスウルト2着) 「最終追い切りではしまいで止まったから、どうなのかと思っていたけど、これだけ走れれば申し分ない。次は産経大阪杯へ行きます」

 ◆柴田大騎手(マイネルミラノ3着) 「行けるなら行こうと思っていた。勝ったと思いましたが、最後は決め手の差です」

■ディサイファ

 父ディープインパクト、母ミズナ、母の父ドバイミレニアム。鹿毛の牡6歳。美浦・小島太厩舎所属。北海道日高町のダーレー・ジャパン・ファーム(有)の生産馬。馬主はH.H.シェイク・モハメド氏。戦績27戦7勝。獲得賞金2億1221万6000円。重賞は2014年GIIIエプソムCに次いで2勝目。中日新聞杯は小島太調教師、四位洋文騎手ともに初勝利。馬名の意味は「解読する」。