ドバイWC|エピファネイアまとめ

 ドバイ砂合う



 【ドバイ(アラブ首長国連邦)24日=ペン・内尾篤嗣】1着賞金600万ドル(約7億2000万円)の世界最高を誇るドバイ・ワールドカップの舞台が、昨年までのタペタ(オールウェザートラック=AW)から今年、ダートに再変更される。日本馬が完敗を続けた2009年までのナドアルシバ競馬場と同じだが、日本から参戦するホッコータルマエとエピファネイアに勝機はあるか。内尾記者が現地の砂に触れ、適性を探った。

 今年のドバイ・ワールドCでポイントは、やはりタペタからダートコースへの変更だ。ドバイでの取材初日。実際に現地でダートに触ってみた。サラサラとしたパウダー状で粒子がとても小さくて赤土のような感じ。一方、日本のダートは粒子が大きく砂利に近い。日本のダートが砂ならば、こっちは土。ドバイの方が柔らかく、よりパワーが必要だと思った。

 ホッコータルマエの調教担当の西浦助手は2月の上旬に、メイダン競馬場を視察に訪れた。現地で撮った写真を栗東で見せてくれ「いかにもタフそう。そこまでスピードは出ず、タルマエ向きの馬場に感じました」と指摘していた。アフリカンストーリーが勝った前哨戦のマクトゥームチャレンジ3(ダート2000メートル)の勝ち時計は2分4秒92。チャンピオンズCが行われた中京のダートの深さ9センチに対し、メイダンは最も深いところで17・5センチ。遅い時計がタフな馬場を表している。

 この日、ドバイに到着した西浦調教師は馬場に脚を踏み入れてダートをチェックした。「走ってみないと分からない面はあるが、すごくスタミナが必要な馬場だと思います」と強調。タルマエは前回、2100メートルの川崎記念をノーステッキで勝ったように、持久力に定評があり持ち味を存分に生かせるのではないか。

 エピファネイアはダートが初めてとはいえ、3000メートル、しかも不良馬場の菊花賞で5馬身差の圧勝を演じたスタミナ自慢だ。かき込むようなパワータイプの走りで、いかにもダートは合いそう。「日に日に環境に慣れてきました。昔のダートに比べて粘っこくて重い印象がします」と角居厩舎の岸本助手は分析。こちらも力のいる土は歓迎だろう。ヴィクトワールピサとトランセンドが上位を独占した11年はオールウェザーだった。かつて米国勢が強かったダートに戻り、日本馬不利との見方もあるようだが、今年の2頭ならチャンス十分とみている。(15年ドバイ国際競走担当)


 


エピファネイア砂の天才かも


 





【ドバイワールドカップ(28日=日本時間29日午前2時発走予定、UAEドバイ・メイダン競馬場ダート2000メートル)注目馬直前特報】実績を積んできた芝ではなく、初のダート挑戦で世界の頂点を目指すのはエピファネイア。2011年のドバイWCを制したヴィクトワールピサも同様のパターンではあったが、当時は芝の馬が強いオールウエザーでの施行。ダートに戻る今回とは状況が違う。

「でも、僕らからしたら今回の選択肢はワールドカップしかないと思っていたんです」とは辻野助手。「あまり言い過ぎると担当の鈴木さんが怒るから普段は静かにしてるんですけど…」との前置きで続けたのは、エピファネイア=ダート馬の認識だ。

「デビュー前のゲート試験に乗ってくれた川田騎手は『ダートで良さそう』と言っていたくらい。僕らもダートだったらどれだけ強いのかな、と常々思っていたんですよ。特に最近は父のシンボリクリスエスの特徴が出た馬体になってきて、切れよりもパワーを感じるようになっているので」

 潜在能力の高さでクリアしてきたが、ダート向きのパワータイプというのが同馬の本質だとしたら…。角居厩舎がドバイワールドC・2勝目という大偉業達成の可能性も十分にありそうだ。


 

父-シンボリクリスエスは、サクセスブロッケンというダート名馬を出している

フェブラリーSを勝利している